なんなんだ‥‥
すなふです。
夏への助走
すなふです。
助走って書こうとして真っ先に「女装」って変換されたのは何故だ。
さて、レヴォはお疲れさまでした。レポートであるとか簡単な雑記は各個人のウェブサイトで触れてあるみたいなので、こちらではスルーします。今回は夏へ向けてのひざうえ的概要。
っていうか、現在のところ夏コミまでイベント申込みはありません。
- 『だ、だめです相沢さんっ、にぃそっくすに染みが――ふぁっ(はーと)』
新刊になります。相変わらずタイトルをなんとかして下さい‥‥。
執筆陣は阿倍碧郎、久慈光樹、くらむぼん、すなふ、瀬世紅葉の五人。数人はえろです。締切は五月末っていうもっぱらの噂なんですが、私締切を切られた記憶がないんですけど‥‥もしやこれがリーダー特区?
るろおさんの表紙絵案は相変わらず素敵でした。期待して下さい。
- 『りんりん文庫』
こちらも新刊。10人くらいを狩ってに声を掛けて、fateのりんりん本を計画CHU!であります。私噛んでませんので詳細はよくわからんのですが、ビッグネームが目白押し。
- 『one fine day』
こちらはレヴォで発表した既刊ですが、コミケは初出になりますので、実物をご覧になっていない方がほとんどかと。名雪文庫第二弾は、ゲストに蟻巻ヨータさんを迎えて、一層まとまりの良いものに仕上がりました。拍子はカゲロウさん。相変わらずシマシマです。
- 他、既刊数点
になります。皆さんよろしくー。
まあ、通ってれば、の話ですが。
すなふでした。
P.S. ひざうえ10せんちの通販ですが、暫くお休みさせて頂くことになりそうです。代わりにと言ってはなんですが、既刊文庫をとらのあな様に委託することになりました。詳しくは後ほどサイトにて発表致します。価格、送料とも高くなりますので心苦しいのですが、通販再開まではご容赦下さいまし。
日の出と共に――
「第一回チキチキ寝たらぬっころすレース!」
「よかろう望むところだ、夜更かしの折原と恐れられた俺の本領を――というか茜、寝るな」
「眠いです……」柚木はいつにも増してハイテンションだであり、かく言う俺もかなりヤバイ。茜に至っては速攻で舟をこいでいるわけだが、一人だけ抜け駆けて寝ることは許さん。
「ダメよ茜! 折原君の部屋でなんか寝て御覧なさい、明日には妊娠してるわよ」
「待て、俺は色魔か」
「しゃらーっぷ! この間プールで七瀬さんの水着に鼻の下伸ばしてた人に発言権はなーい!」
「どういうことですか浩平!」
「ち、違うんだ茜! あれはその……」
「だいたい浩平はスケベです、この間も危険日だっていうのに中に……」
「若かったあの頃ー何も怖くなかったー」
「うるせえぞ柚木! 神田川なんて歌いだすんじゃねぇ!」
睡眠というものは人間には不可欠であり、それを怠ると思考の大半を持っていかれるというよい実例だろう。おまけに酒が入っているとなるともうグダグダだ。とりあえず朦朧としてなにを口走っているのか俺もよくわからん。
「時に折原君」
ドン、と一升瓶を床に置き、柚木が座った目でこちらを見やる。おいお前飲みすぎだろいい加減。
「しゃらっぷ! 今日という今日はとことんまで問い詰めてやるげふぅ」
「てめぇ、喋りながらげっぷすんじゃねーよ」
日本酒の前はビールだったからな、どうしようもない。
ぬぅ、茜ー寝るなー。
「眠いです……」
「とにかく! あんたはいい加減すぎるのよ」
「ぬぅ、柚木に言われるとはひどく心外だぞそれは」
俺としては会心の切り替えしだったのだが、柚木はふんと一つ鼻を鳴らしただけだ。あんにゃろう完全に自分のことは棚に上げてやがる。
「だいたいね、折原君は浮気者すぎる」
「まったくです! 浩平は気が多すぎます!」
「……茜、寝てたんじゃないのかお前」
「この間なんて長森さんにまた朝起こしてもらっていたじゃないですか! 信じられません!」
「うわー、折原君それはまずいと思うよー」
「寝過ごしたんだからしかたねーだろうが!」
「だってねぇ? 茜という者がありながら、ねぇ?」
「ぐっ、しかたねぇだろうが! 茜がなかなか寝かせてくれげふぅ」
ビールでげっぷしたわけではなく、速攻で茜に殴られたのだ。
「シモネタは嫌いです」
「というかひょっとしてあんたら、一緒のベッドで寝てるとこ長森さんに起こされたんじゃ……」
「……」
「……」
けっ、やってられないわ! と一升瓶をあおる柚木。お前飲みすぎだ。
「あんたねぇ、それだけラブラブなのに隙が多いのよ」
「ラブラブ言うな、お前何年生まれだ」
「んなことだから、茜という者がありながら下級生に告られるのよ」
「なっ! バカお前それは……!」
ゆらりと立ち上がる茜さん。
一升瓶を逆手に構えるのはやめてくださいやめてください。
「こーうーへーいー」
「ち、違うんだ茜! あれは違うんだ!」
「きゃはははは」
「てめぇ柚木! 覚えてろよ……いてっ! いててて! 茜さん一升瓶はシャレにならねっす!」
「ちゃんと茜捕まえてなさいよあんた」
「うっせーぞ柚木! なんとかしろ!」「じゃなきゃ私が……」
そこから先は聞き取れなかった。
「むー、折原くん、起きてるー?」
「……ああ、とりあえず茜、寝るなー」
「…………眠いです」
現在の時刻は午前五時二十二分、そろそろちゅんちゅんという小鳥の鳴き声が聞こえ始めた。
明日――というか今日もバリバリに朝から授業なのに、俺たちはなにをやっているのか。
「日の出は何時だっけー?」
気だるげな柚木の声に、傍らに置いた新聞に目を走らせる。
「あー、五時四十分だからもうすぐだな」
「ん、そっか」
「だけどどうしたんだよ柚木、いきなり来て『三人で日の出を見よう』だなんて」
「んー、まぁなんとなく、ね」
柚木の気まぐれはまぁいつものことで、そんなこいつに俺たちはいつだって振り回されて。まぁもう慣れたからいいけれども。
「茜はー?」
「あー、寝ちまったみたいだな完全に」
「そっかー」
夜明け前というのはとても静かで、しばらくは俺と柚木、そして茜の呼吸音だけが部屋にこだました。ちゅんちゅんという小鳥の鳴き声がよりいっそう大きく感じられる。
「茜はさ」
「あん?」
床に寝転がった柚木は、ただ天井を見上げながら、どこか独白するかのように言葉を発した。
「茜は、お姫様なんだよね」
「なんだそりゃ」
「お姫様はさ、幸せになるものなんだよね、最後にはさ」
「だからなんだよ、そりゃ」
意図するところを掴みかね、寝転ぶ柚木に顔を向ける。表情を隠すためか、それとも違う理由か、すっと目を細めた彼女からは、何を考えているのかを読み取ることはできなかった。
「べっつにー? たださ……」
もう柚木は笑っていなかった。
「お姫様は世間知らずだから、忘れちゃうんだよ、すぐにさ」
もう柚木は笑っていなかった。
その口調はいつもの軽いものではなく、細められた瞳はどこか尋常ではない色を湛えていて――
「あはは、じょーだん、じょーだんだよっ! あっ! 夜が明けてきた! 茜ー茜ー起きて起きてー!」
「ん……眠い…」
「ほらほら折原くんも! 起きる起きる!」
「……俺は寝てねーよ」
三人で部屋の窓から見る、なんの変哲も無い日の出。
別に初日の出というわけでもなく、とりたてて綺麗というほどのものでもない日の出。
そして柚木は、ぽつりと、言った。「私、引っ越すの。しばらく会えないと思う」
「え……? 詩子……?」
絶句したところを見ると、茜もなにも知らされていなかったらしい。どこに引っ越すのかを聞いても、柚木はただ笑って答えようとはしなかった。問い詰める茜にもただ「遠いところだよ」としか言わない。「この日の出、私はずっと忘れないよ」
「ずっと……ね」それが、俺と茜が見た最後の柚木だった。
朝
「まず、怒ります」
「うんうん」
「それから、やっぱり怒ります」
「うんうん、そうだよね」
「そのあと‥‥泣いてしまうかもしれません」
「うんうん、わかるわかる――って、えっ!?」
『朝』
光が痛い。
カーテンの隙間から差し込む朝の光に、茜は目を細めた。
ことり、と置く音は、深夜と違って、喧噪に隠れて小さくなる。そうして、また一つ、テーブルに空き缶を並べる。
向かい側の詩子は、うつらうつらしながらグラスを舐めていた。琥珀色の液体は、すっかり溶けた氷のせいで随分色を薄めている。
「カリスマ主婦‥‥」
その首が、かくん、と折れた。
「詩子、起きてますか」
「マーサ‥‥スチュワート‥‥」
「寝るなら、ちゃんと布団を敷いた方がいいです」
「寝ない‥‥寝ないよっ!」
くわっ!
がばっと起こした目は、うっすら隈取りされていた。やけにハイな詩子だったけれど、笑うより先に、申し訳なさが立った。
「なんか、夢の中でパッチワークしてた」
「寝てるじゃないですか‥‥」
ため息をつく。その先の詩子が眉を顰めて言った。
「茜だって寝ぼけてるよね」
「私は寝ぼけてなんか居ません」
「そのビール、口開いてないんだけど‥‥」
口を付けていた缶を離し、視線をそこに持っていく。
ふぅ。
ため息をつく。
道理でアルミの味しかしないわけだ。
ちゅん、ちゅん。
雀が鳴いていた。もう、すっかり朝だ。
「しかしあいつも携帯くらい持てばいいのに。連絡すらつかないなんて」
詩子が思い出したように怒り出した。さも新しい話題のようで、昨晩から何度も聞いた言葉だ。
「詩子、私も携帯は持ってませんよ」
それに合わせて、茜も何度も使った相づちを打つ。
「あー茜は良いのよ。絶対に待ち合わせに遅刻したりしないし、約束だって破らないでしょ。それに引き替え、あのバカは」
ぷんぷん、と擬音が聞こえてきそうな怒りっぷり。調子に乗って、グラスを一気に傾け
「う‥‥」
そして咽せていた。それを眺めて、再度ため息。
「浩平はバカですが、詩子に言われると少し可哀想になります」
「うっさいわよ」
居並ぶ空き缶は、詩子二人で空けたもの。半分以上減ってしまったボトルだって、詩子と空けたもの。
それから――部屋の隅に、赤い包装にくるまれたプレゼント。「何も無いよー」なんて言ってた詩子だって、きっと用意してるに違いないのだ。
というか、彼女のトートから、黄色い箱が飛び出て見えてる。
約束だったのだ。
ささやかでも、お祝いをする。そういう約束だったのだ。
「仕事で遅くなるかもしれない」
そう言ってくるのは、いつものこと。
「構いませんから」
そう言ってしまうのも、いつものこと。
電話越しでは、私がどんな顔をしているのか、わからないからだろう。
「悪いな、でもちゃんと行くよ」
快活に、あいつはそう言う。
あいつは、待つことの辛さを、知っているのだろうか。
ぎゅっと、胸を抱く。
「電流‥‥無制限‥‥」
船を漕ぎながら、また詩子がうわごとを繰り返していた。
「だから、もう寝た方がいいです。今日はもう諦めて、帰ってください。申し訳ないです」
くわっ!
跳ね起きた。
「あーっ! ダメっ! いまちょっと視界がバチバチ弾けて気持ちよかった!」
「寝ましょうよ‥‥」
呆れてため息をつく茜に、詩子は微笑む。
「寝ないよ」
どこか遠くを見るような眼だった。
「私も、寝ないで待ってる」
私は待てないから。
確かにそう言った――気がした。
「あいつはバカだからさ、どんなに遅れても、ちゃんと来ちゃうと思うんだ。そのときに、茜だけしか居なかったら寂しいでしょ? 私は待てないから」
「詩子‥‥」
詩子は寂しそうに微笑み続ける。
「遅かったけど、いまからでも待つ練習をするのも、悪く無いじゃない?――って、自分で何言ってるんだかわかんなくなってきた‥‥」
何かを突き刺された気がした。
胸の下のあたりに、熱が走る。
だから、慣れない冗談を言う。
「恋人同士、水入らずの方が、愛があって楽しいです」
「がーん」
大口を開けた拍子によだれが垂れそうになって、慌ててそれを拭う詩子。
「ていうか、茜いま、割と恥ずかしいこと言ってた?」
茜は頬を染めて俯いた。
「空耳です」
「茜の口から『恋人同士』なんて、はじめて聞いちゃったっ!」
「だから、空耳です」
ぷい、と横を向いた。
「でも、茜?」
珍しく真剣口調の詩子。つられて、茜も眠気を懸命に飛ばし、その目を見る。
「私にそのケは無いから、諦めてね」
寝ろ、と思った。
「ふわーあ、うん」
詩子の大あくび。噛み殺そうという意識すらもう無いらしい。
茜は微笑んで、その顔を眺める。
「あによ?」
「詩子、酷い顔をしてます」
「茜もね」
再び微笑む。
「本当に」
立ち上がった。ずっと座ったままの脚に痺れが走る。少しよろめく。
部屋の二面に大きく取られた窓を覆うカーテンを、両方とも開けた。何かを断ち切るかのように、思い切って開けた。
シャッ!
「ギャーーーーッ!」
朝の光に撃たれた詩子が、最後の断末魔を上げる。
アパートの二階から眺める、動き始める街並み。住宅地から街へと、人は歩みを進めていく。学生、社会人、幼稚園の送り迎え。それは車であったり、バイクであったり、自転車であったり、徒歩であったり。
ただ待つということは、この街から取り残されていく行為だ。そう思えて、無性に切なくなって、視線を外そうと――した。
時間を巻き戻すように。
その、人の流れに逆行する黒い影を見つける。
まず、怒る。
まずは、怒らなきゃ‥‥
視界が滲んだのは、朝日が目に染みたからだろう。
「詩子――順番を、間違えました‥‥」
振り返ると、親友はテーブルに突っ伏して寝入っていた。
レヴォ終了
おかげさまをもちまして4/29のコミックレボリューションも無事終了いたしました。
つか、僻地在住の私は一度もイベントに参加したことは無いんですが(する予定も怖くてないのですが……)、放っておくとここの人たち次のイベントまでこのスペースの更新どころか存在まで忘れかねんので、せこせこと書き込んでおります。
なんか聞けば久慈さんと雅さんのコピー誌、久慈さん分の原稿ができあがったのが当日の明け方だったとか……全然「無事」じゃねえじゃんというツッコミもあるかとは思いますがね。「無事」の範疇に入るんですよ、ウチの場合。
これまでONEにKanonばかりだったこのサークルがついにFateに進出した画期的なイベントだった、と後世の歴史家は評価するのでしょうか。んなわきゃねえか。このサークルから逮捕者でも出ない限り(可能性ぐんとUP)。
仕事で死にそうな御大と、恐るべきアホーな女子高生との戦いに摩耗しているリーダーは、しかし命をも顧みず次なるイベントの参加予定を組んでおられます。
夏の本に関しては、いずれ別のメンバが公式アナウンスをするでしょう。
業務連絡:とりあえず原稿締め切りは今月末ですぞ、みなさん。
大型連休も半ば、きりきり原稿上げましょうね。
ではではまたね。
昨日、よつばと!に笑い転げているうちに一日が終わってしまった くらむぼん。
コミックレボリューション35告知
はい、お久しぶりのひざうえ日記でございます。
くらむぼん兄さん申し訳ないです。
ロクデナシな人たちなので全く書く気がありませんでした…。
今日私の手元にカタログが届いたので書いてみようかと思います。
カタログこんなに分厚いのね…1cmくらいありますよ?
ひざうえ10せんちはレヴォ初参加です。場所は『く37b』です。
ビックサイトはコミケの時くらいしか行かないのですが、
となりでコミックルネッサンスが開催してるので東ホールを
全部使うかなり大規模なイベントみたいです。どうなることやら…。
気になる新刊は…なんとか出ます…。
いつも入稿ぎりぎりなのは仕様ですか?たまには早く書いてくれよ…。
と言う訳で新刊情報
タイトル:『One fine day』
内容:名雪シリアス小説
筆者:久慈光樹 すなふ 蟻巻ヨータさん(ゲスト)
表紙、挿絵:カゲロウさん
価格:700円くらい?
です。久慈さんとすなふさんが歓迎してお待ちしております。
あと、コピー紙出します。
タイトル:『あんりみてっど金属バットわーくす』
内容:Fate凛小説
筆者:久慈光樹 雅大使
価格:100円
です。久慈光樹さんがすっかりはまってしまったFate本です。
私の方にも飛び火する形で書くことになりました…。
なんでこんな事になったんだろう?
おのれっ!久慈光樹さんめっ!
既刊も持って行くそうなので皆様是非いらしてくださいな。
キミらも何か書けよ…。
(雅)